パトリック・ガロワ来日ツアー2016

フランスに帰国してバタバタしていたら、あれから既に2週間が経っていたとは気がつきませんでした。すみだトリフォニーホールで開催された4月17日のガロワの60歳還暦記念コンサートを軸に、宇都宮公演、北九州公演とパトリックにとって久しぶりの日本ツアーとなりました。

 わたしとしては、パトリックと日本で会うということがとっても不思議な感じがして、メトロの中で振り返っては金髪青目のパトリックがいる、一緒に観光をした築地市場では目の前で海鮮丼を美味しそうに食べるパトリックがいる、そして第二の母校である東京音大へ迎えば、高校の頃毎日のように通っていた通学路をパトリックと歩いている。留学仲間が日本に完全帰国して、フランスにいた生活が遠い遥か昔のような異次元の空間だったと話していたのと思い出しましたが、まるでパトリックがいる日本は私にとってネバーランドのようでした。

4月16日ヤマハのアトリエをお借りしてリハーサルが行われ、皆久々のパトリックとの再会を心から喜び、そして彼の音楽にリードされ、まるで皆がオルネイの音楽院で授業をうけているようなそんな錯覚に陥りました。パトリックとはオルネイ音楽院のフルートアンサンブルのコンサートで何度か共演させてもらったことがあったのですが、いつもに増して自由に飛び回るよう鳥のような演奏!!


今回私はボワモルティエの5重奏の2曲にのっていたのですが、要所要所で工藤重典先生が「そこどーやってるの?」と止めてくださったり、バランスを聞いてくださったりして、初めて工藤先生とパトリックのやり取りを生で見ることが出来、何度もファンとしての目線に戻ってしまったり・・・(笑)バロック奏法に至っては、バロック奏者のようにはできないにしても、オルネイの授業で、ぐうの音が出ないほど分厚い本をみんなで読んで解釈に勤しみましたから、パトリックのヘミオラの取り方やアクセントのつけ方に、門下生の手元に「あるあるボタン」があれば満点だったろうポイントが沢山ありました。(笑)

そうして翌日17日、異端児にはぴったりな暴風の中、パトリック・ガロワ還暦記念講演が開催されたのです。楽屋には女性出演者が五人、前田綾子さん、栗田智水さん、白戸美帆さん、寺田愛さんそして私。ガロワと女子な話題でとっても楽しい待ち時間を過ごしました!前田さんがお持ちだったパトリックの若いころの写真を見せて頂いては、一同黄色い悲鳴。出演者ではなくファンクラブの楽屋だったように思います(笑)

そういえば、開演前に楽屋にパトリックと奥様が私へのお誕生日プレゼントを持ってきてくれたのですが、なんとかわいいムーミンの袋に入ったウォッカ!二人とも私の素性をわかっていてくれてありがとう(笑)大事に飲みます!

そして間もなくして開演のアナウンスが流れ、工藤先生から立花千春さんへの献奏がされました。出演者の皆さんもスタッフの皆さんも、近しい方が多かったのにも関わらず、千春先生のために公演頑張りましょうと声をかけあっていたのが、印象的でした。私は残念ながら直接お会いするチャンスがなかったのですが、CDで緑が芽吹き花が開いていくようなフルートを拝聴していたので、立花先生のお人柄を拝見したように感じました。

本プロに入り、パトリックの演奏をモニターから聴いていたのですが、あの渋い美音とパトリックそのもののような音楽に、身震いしたり、ニヤけたり、そしてそれにぴったり寄り添うようにピアノをつけていく瀬尾さんに驚愕したり・・・客席で聞けなかったことがちょっぴり残念。

やっぱり舞台に上がったパトリックのオーラ、身のこなし、全てが素敵だなぁと思うのです。ボワモルティエの一曲目では、私は5番フルートを受け持ちパトリックの真正面だったので、彼のフレージングに全て脳が乗っ取られているように感じるほど。しかし煽られてついて行くのが必死になると我に返って楽譜を見ていました(笑)

本プロ最後のボワモルティエの五重奏(10人で!)は、右にガロワ、左に工藤先生と美音に挟まれ、こんな幸せな経験初めて!!ガロワの「いくよ?」という眉の上がりを見て、絶対仕掛けてくるな・・と思ったのですが、やっぱりー!!ついてくのたいへーん!!そのアーティキュレーションだったっけー?!とヒヤヒヤしながらも、発される音楽にずっとドキドキが止まりませんでした。

アンコールでも工藤先生と瀬尾さんからのサプライズプレゼントがあり、参加できなかった愛弟子の江戸聖一郎さんからは、バッハ作曲のバディヌリの編曲が届き、観客の方からは盛大な拍手をいただき、こんなにも皆から愛されて、祝ってもらえてよかったね、パトリック。急遽ガロワの謝辞の通訳を頼まれたのですが、涙が出そうなのをこらえながらだったので、ちゃんと日本語を喋れていたのか・・・少々不安です(笑)

ご来場いただいた皆様、そして関係者の方々、そして各方面からサポートをしてくれた友人たち、この場をお借りして心より御礼申し上げます。本当に有難うございました。

終演後、中学から大学までずっとお世話になっていた野口龍先生と同門の寺田愛ちゃんとパチリ。ちょっとずつこうして「どうにか生きてますー」と先生にご報告できる機会があるのが、とっても嬉しいです。また高校のフルートアンサンブルでお世話になっていた中野真理先生にもお会いすることができて、キャーキャー!!まり先生ー!!ハグ!!と相変わらず動物的な動きをしてしまいました。(笑)



おまけのリハーサル風景。
実はアンコールのバディヌリの時、私だけフルートが大きく見えたという声がありましたが、これは間違いなくアルトフルートです!!ガロワとの身長差35cmを見てからの、フルート→アルトフルートの持ち替えだったので、遠近感がつかめなかったとか(笑)このアルトは、ヤマハさんが貸してくださったのですが、コンサートフルートみたいにするする吹ける!タンギングがクリア!頭部管のリッププレートのカーブが最高のフィット感!と気持ちよくてボスボス吹いてしまい、リハ中にパトリックから低音二人煽りすぎだと言われました(笑)


公開レッスンへと続く・・・

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