STRAUSS!パリ管の夕べ

 パリは段々冬が近づき、道を歩けば煙突から暖炉の煙が見えるようになりました。なんだか銭湯の横を通っているような香りがして懐かしい。郊外では暖炉の使用が許可されているので、薪の暖炉やサウナを設置しているお宅が多いのです^^暖炉の火でソーセージを焼いたり、マシュマロを焼いたり、そしてお餅やサツマイモも・・・。我が家もそろそろ暖炉欲しいなぁ。私の食欲さておき、やはりパリは芸術の秋。昨夜はパリ管弦楽団のコンサートへ行ってきました!プログラムは攻めのAll リヒャルト・シュトラウス。 


交響詩 ツァラトゥストラはかく語りき 
ピアノと管弦楽のためのブルレスクニ短調
薔薇の騎士組曲  
Paavo Jarvi 指揮  Nicolas Angelich ピアノ パリ管弦楽団

来シーズンで芸術監督のパーヴォ・ヤルヴィが任期を終え、そしてパリ管も2015年1月からサルプレイエルを後にし、19区に建設されている新しいホールPhilharmonie de Parisを拠点を移します。なので平日はコンサートに行けない私には、昨夜が最後のOrchestre de Paris@Salle Pleyelだったのかもしれません…。パリ管もサルプレイエルも学生時代通い詰めていたので、とても寂しいです。そして、治安の悪い19区に夜行きたいと思えるかどうか・・・。プログラムはおしゃれなんですけどね^^


パリ管は奇才エッシェンバッハからパーヴォ・ヤルヴィに芸術監督が変わって、エネルギーを惜しみなく出すのでは無く、秘める美しさ、そして一層繊細で柔らかく、色鮮やかな演奏が多くなった気がします。父上のネーメ・ヤルヴィが爆発するような音楽を作るのに対して、息子パーヴォ・ヤルヴィはタクトも歩き方もすっとしていて、スマートなのに叙情的で本当に大好きな指揮者。ファンとしては、こんな素敵な組み合わせなのに契約更新をしないのは勿体ないとも思うのですが、やっぱりオーケストラ!で音楽評論家の方が取り上げているように、ヤルヴィは名曲だからといってルーティンさせてはいけない、いつも発見があるべきだ。と考えているという事。円熟味が増して来たからこその出発なのかもしれません。まだ後任の噂を聞かないので、どうなるのかドキドキです。 

さてコンサートの話に戻りますと… 開演ギリギリまでバーでワインを空けていたので、プログラムも貰わずにエレベーターへ。てっきり薔薇の騎士から始まるかと思っていたら、ドーソードーとツァラツゥストラから始まったので、思わず吹き出しそうになってしまいました。何せ冒頭の部分はキューブリックの映画「2001年宇宙の旅」のテーマですから・・・。最初の数分は映画の月面着陸するイメージが頭にリフレインしていたのですが、さすがパリ管×ヤルヴィ。押せ押せの演奏になりがちなシュトラウスがとっても色彩豊かなのです。そして第三曲目の薔薇の騎士からの組曲も、Jarviの何とも洗練されたワルツが繰り出し、まさに夢心地。ウィーン風の重いとも、フランス風の浮ぶようなワルツでもなく、遊びがあって、身体のバネが自然に動いてしまうような薔薇騎士でした!

ちなみに今回はコンサートマスターがPhilippe Aiche、前半のツァラツゥストラのフルートは1st solo:Vincent Lucas, 2nd:Florence Souchard-Delépine, 3rd et picc: Bastien Pelat, Picc:Anaïs Benoit後半は乗り番を変えて1st Solo: Vincens Prats, 2nd:Florence Souchard-Delépine, Picc:Anaïs Benoitでした☆

そして初めて生で聴いたブルレスク。アンジェリックの深いタッチとその音色の繊細さと言ったら鳥肌ものでした!この曲は技巧的に演奏する音源が多く、あまり音楽的な印象が残っていなかったのですが、魔法使いのようなニュアンスのコントロールと、歌い過ぎずに、甘さと切なさを残したような演奏。最上階の一番後ろの席にいたにも関わらず、芯のある低音から高音の透き通るようなppまでポーンと響いてきました。素晴らしかったー。会場中ブラボーの嵐!フランスの聴衆は本当に反応があって楽しいです。

しかし以前聴いた彼の演奏が、精密なロシアピアニズムな印象だったのと、王子っぽい風貌だったはず?と思って帰宅後調べたらば・・・ザ・ロシアのニコライ・ルガンスキーでした!!ニコラしか合ってなかった!数年でこんなに演奏が変わるのならば、泣きたくなりますから、ある意味良かったです(笑)ちなみにアンジェリックは、アメリカ出身で中学生で渡仏して以来、こっちに住んでいるそうです。 

アンジェリックが演奏するブラームスのコンチェルトの映像があったので、もしご興味があったらどうぞ♪こちらも、ニコラス・アンジェリック ピアノ、パーヴォ・ヤルヴィ 指揮、パリ管弦楽団の演奏。秋にはブラームスの悲壮感と重厚感が欲しくなります。この二楽章が好きで、コンサートから帰ってから何度も聴いて夜更かししてしまいました。長くなってしまいましたが、やはり音楽の話題は力が入ってしまいますね^^; 毛むくじゃらのウサギも飼い主の毛布に潜り込む季節ですので、風邪を引かぬ様に家でぬくぬくとクラシックでも聴いてみてください♪ 




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