教えること

フランスでは6月が学期末なので、バカロレアの試験に備える生徒、学年末試験に備える生徒など少しずつピリピリ感が出て来ました。いつもあまり頑張らない国民性なので、こういう時堪えるのでしょうね…筆記がうまく行かなかったとレッスンで泣きそうになったり、ソルフェージュの試験が鬼のように難しかったと怒っていたり…笑 様々な生徒の顔を見る事が出来ます。教師側からすれば、ここを乗り越えたら絶対得るものがあるから頑張れー!と思うのですが、生徒側はきっと地獄の中にいる気持ちですよね。立場が逆転して、やっと先生方が試験前にニヤニヤされていた気持ちがわかります。

しかし今回の代講、サプライズが多すぎて私自身もかなりヒヤヒヤしたのです。まずは、レッスンに着いたらバロックリコーダーの生徒がいた。とか。生徒が3週間先の進級試験の曲を知らなかった。とか。学年末のコンサートのオーガナイズはしてあると言われていたのに、何も用意されていなかった。とか。リコーダーなんて中学校の授業で吹いたきり。楽器すら持っていないので、運指すら分かりません。という事で、ネットで調べながら四苦八苦しながら教えております…。ただただ甘いリコーダーの音を響かせてる横で、フルートの伴奏なんて申し訳ないなぁ。

数年前代講を引き受けだした頃は、なるべく問題がないように、優しくレッスンをしようと心がけていたのですが、一ヶ月、二ヶ月と長い代講を託してもらえるようになって、色々チャレンジしてみたくなりました。生徒にしたら優しいだけじゃすぐ飽きてしまいますよね、特にフランス人は。

なので、ダメもとで濃いめのレッスンをしてみたら、生徒が喜んでレッスンに来てくれるようになりました。勿論、色々な壁もありますが、味見だけでもしてもらおうと、最近は現代奏法や即興を取り入れたり、少しだけストレッチさせてみたり、ピアノを使って和声の話をしたり、少しフルートのメトードから離れた事を取り入れてみています。

ダンスをやっている子には、吹きながら振り付けをしてもらったのですが(シュトックハウゼンみたいに!)それまでグラグラだった体の中心が分かったようで、立ち方を注意するよりも断然理解が早かったようにも思います。代講が終わって、先生方からも素敵な感想を頂く事もあって、やはりリスクは負うものだなぁと思うようになりました。フランス人は他人のやり方を尊重するといういい所があって、少し変わった事をすると、それ面白いねー!とすぐのってくれるし、避難される事は殆どないんです。それが、恐がりな私でもリスクを負える理由でもあるのかもしれません。

またプライベートレッスンの生徒たちは、いかにやる気を出させるかというのが難しく…試験もないので、同じページを3週間キープというのも珍しくありません。ここで出てくるのが、cefedemでも散々勉強した「いかに生徒のモチベーションをキープするか」。あの知識、生徒、教師のノウハウの三角形が頭に浮かびましたが、理論よりも何にだったら興味を持つのか…を探すのが大変。色々試してはみたのですが、やる気が続くものはなく…。

偶然、10歳の生徒に、「母の日のプレゼントにCDをプレゼントしてみる?」という提案をしてみたら、これが大当たり。アマチュアのフルーティストでもあるお母さんに自分の演奏を聞かせるのだからと、この3年間で初めて自発的に練習してくれました!笑 録音もレッスン3回に渡り、何度もテイクを取り直し、うまくいかないと涙ぐんでいた10歳の少女。頑張っている姿を見ていると、教えてる甲斐があるなぁと改めて感じる事が出来ました。無事に編集を終えて、ボイスメッセージも入れて、母の日のオリジナルCDが完成。お母さんにもサプライズプレゼントをとっても喜んで頂けたようです。まさかこんなに小さな少女のやる気が、誰かの為に演奏するという事だとは思いもせず、もっと早くに気がつくべきだったなぁと学ばせて頂きました。教えるって奥が深いなぁ。

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