異文化コミュニケーション 2

それでは前回の続きで、CEFEDEMの授業内容を説明します。前の記事にも少しだけ書いたと思いますが、この機関は、各地方にひとつずつ設けられていて、確か2年間の間に2000時間の授業時間のカリキュラムが組まれています。細かい授業内容は、各地方によって様々ですが、中心となる授業は、

教育論 心理学 哲学
音楽院での教育実習
アナリーゼ
実技
卒論


といった感じです。簡単に内容を説明しますと、教育論は、ヨーロッパの心理学者、哲学者の原理を元に、授業を展開していきます。これには、毎授業まる一日かけられ、先生の説明があった後、グループになり話し合い、そしてその話し合いの結果を発表するというものが多いです。このグループでの発表するというのが、この授業の特色で、答えを見出すものというよりは、意見を交換して、刺激しあったり、お互いの土壌を豊かにするといったメリットがあります。まさにSociocognitif ... デメリットは、あまりに題材が難し過ぎて、テーマすら理解できない事が多々あるという、、そうとう苦しい一日を過ごす事も。

また、クラス全員の前で、15分程レッスンをして、その後先生、クラスメイト全員からそのレッスンがどうだったか等を話し合う授業もあります。これは、なかなかの針のむしろ。

この机で過ごす教育論もあれば、一年目の終わりに、各自教育論のテーマを決めて、それを自分の生徒等で実験し、実験結果を審査員の前で発表、そして質疑応答という、なかなかハイソな試験があります。ちなみに私は、評価方法を題材にし、生徒の自己判断力、向上心などに注目して、どうやって実のある評価、意味のある評価方法を見つけられるかという事を題材にしました。音楽は、評価を与えるものではない。というタブーな所から入っていったので、なかなか苦労しました。

音楽院での教育実習というのは、外部の音楽院の先生の元で3~4ヶ月、週一回程研修をします。まずは、先生のレッスンの様子を見学、その後2、3週目から、先生の生徒を借りて、先生の前でレッスンをします。その様子を見て、そのあと教育方針や、テクニック等についてアドバイスをもらうというものです。生徒たちも、自分の先生も前で、他の若い先生にレッスンされる事に緊張していますし、こちらも他人の生徒をその人の前でレッスンするのですから、相当なプレッシャーですが、やはり、第三者の意見が聞けるというのは、とても勉強になります。

アナリーゼは、音楽大学で履修するようなアナリーゼと同じ様なものですが、少し異なるのは、アナリーゼと音楽史が一体化した授業なので、昔とっていたアナリーゼの授業よりも、より密なものだなぁと感じる事が多いです。大変なのは、音大生には遠い歴史、西洋史の話です。私たちは、音楽史については、知識がありますが、どこの領地は~から始まった日には、知っているフランス史の登場人物がベルバラに出て来る人のみだったのを今でも覚えています。いうなれば、フランス人に朝廷や幕府の話をするようなものですから・・

そしてアナリーゼにも研究発表するものがあり、自分の楽器のレパートリーから一曲選び30分ほど発表、室内楽曲の発表、そして音楽と他の文化との関わりについて等をグループで1時間半程発表する授業もあります。

実技に至っては、フランスには珍しく副科ピアノ(ジャズ即興のクラス、通奏低音のクラス、普通のピアノのクラス等に分かれています)、現代音楽の室内楽コンサート、修了試験のコンサート等があります。各自楽器としての評価は、各自外部で先生を見つけ、その先生に成績表をお願いするか、登録している外部の音楽院の試験結果などで判断されます。

珍しい授業を幾つかあげると、演劇、ルネッサンスダンス、バロック即興、現代即興、フェルデンクライス、アレキサンダーテクニック、民族音楽学等があります。これは学校によって様々だと思いますが。

しかし、どの授業をあげても、まずグループで話し合い、研究発表、話し合い etc...これの繰り返しなので、引っ込み思案になっていると、全くもって置いて行かれてしまいます。その上、フランス人は、良くも悪くも物事をはっきり言う気質があるので、甘い事をいえば、顔面にホームラン級の言葉が飛んで来る事も。その代わり、分からない、出来ない、とはっきり言うと、嫌がらずにさっとサポートをしてくれます。

CEFEDEMが今年の新入生から、3年生になったという話は前回少し触れましたが、私たち2年コースでも6時間授業x週2~3回、それにプラスして、外部の音楽院で研修、各自の楽器のレッスン。そして、皆大体がもうプロとして教えている身なので、それぞれの仕事。そうすると楽器を練習する時間はほぼなくなってしまいます。なので、これが3年コースで、授業も増えるとなると、今年からの新入生が可哀想で仕方ありません・・・。学士号や博士号を取ったからといって、演奏が良くなる訳ではないですし。。。

1年目は頑張りすぎて疲れ、2年目は卒論やプロジェクトに振り回されて過労気味。落ち込んでいるかと思えば、一瞬でランニングハイのようにいきなり歌い出す人もいて、人間の極限ってすごいんだなぁと思い知らされている日々です。

それでは今日はこのあたりで!

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