暑かった夏

エアメールよりも遅いこのブログ。船便。いや瓶に入れた手紙のように、いつか誰かに届いたらいいなぁと思いつつ、今夜もツラツラ書いてみましょう。船便というと友人が送ってくれた漫画が、配達途中に何百部の美術館パンフレットに化けて届いたという悲しい過去があるものですから。人魚姫伝説的な・・・それはまた別の時に。

海、手紙、インクと思い浮かべると脳内再生するのは荒井由実の「海をみていた午後」。これは大好きなアルバム「Misslim」の中の一曲で、メランコリーな鍵盤の音が幼少時から忘れられなかった歌。後にサン・サーンスの水族館を聴いて、はっとこの曲を思い出したこともありました。昔から水に関係する音が好き。

音楽と思い出と香りはいつだって交差して、心を自由にしてくれる。それがチェット・ベイカーだったり、ホロヴィッツだったり、荒井由実だったり、ジャンルは関係ないのです。ふと頭の中に音楽が響いて来て、あれも聴きたいこれも聴きたいと夢中になり、そしてやっぱり奏でたくなる。自問自答せずとも、好きなことの理由なんてするりと手元に滑り込んでくるもの。

そんな風に自然にものごとが運んだこの夏。
7月末に汐留ホールにてピアニスト西山英里さんとのデュオコンサート「おしゃべりな夏の夜の夢」を無事に終演し、先週フランスに帰国致しました。ご来場いただいた皆様、そして各方面から応援いただいた皆様、心より御礼申し上げます!!
 
英里ちゃんとは全てが引き上げられていくような楽しさがあり、こんな楽しくっていいのだろうか、曲間で袖に下がっては「楽しいね!めっちゃ楽しいね!」とわーきゃー言っているほどでした。音楽の持つ魔法、そしてコンサート特有のお客様とシェアする温度に、自然に溶け込めたように感じています。

プレトーク&プレコンサートでは、本編の作曲家と関係のある作品を取り上げつつ、その当時のフランスのお話を。まさかプレトーク開始時に、お席がみっちり埋まっているなんて思いもせず、緊張の面持ちでのトーク。

それでもフランスの黄金時代をしたかったので、アドレナリンは出っ放しでした。詩人と音楽家と芸術家がコラボして衝突していた素晴らしい時代。ヴィオーから、プルースト、マラルメのお話。そして印象派を象徴主義。ドビュッシーの生涯など。

もう少し文学にフォーカスして、ポーあたりのお話もしたかったし、ダンスについてバレエリュスの振り付けと、バロックダンスの比較などもしてみたかったし、調性崩壊についてなどももう少し突っ込みたかったし、絶対王政あたりのお話も・・・と次への課題もいっぱいです。こうして箱を開けてみると魔法のような時間で、次から次へとアイディアが湧いてくるのだから、コンサートって本当に不思議。

 今回のセットリストは
プレトーク内
マスネ:タイスの瞑想曲
マラン・マレ:スペインのフォリアより抜粋
ドビュッシー:シランクス

本編
アーン:クロリスへ
イベール:ソナチネ ”戯れ”
ダマーズ:コンセールによるフルートとピアノの為のソナタ
ブラヴェ:ロンドーによるジグ
ドビュッシー:アナカプリの丘(ピアノ独奏)
ドビュッシー:ヴァイオリンソナタト短調 (arr. 今井)
ドビュッシー:月の光(アンコール)

 リハを重ねて脳内のアイディアが形になっていく道のり、そして共演者との化学反応でそれが多方向へ広がっていく世界を今回改めて感じる事が出来ました。また英里ちゃんと共演できたらいいなと、ここにラブレターを残して瓶に詰めてみます。

さて次は・・・?と動く前に少し休憩。
夏前に忙しすぎて大やけどを負ったことですし、少しだけお布団を干す時間。心も体もフカフカにしてまた9月からチョロQ頑張ります!

時間ができたらアンサンブル会とサマーアカデミーのレポートもします!メルマガも!
それでは あびあんと!


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